FC2ブログ
プレゼント 書評こぼれ話

  近年映画などで
  「ディレクターズ・カット」という言葉を
  よく目にします。
  これは公開時に諸般の事情でカットを余儀なくされた作品を
  監督などが改めて編集し直すことをいいます。
  今日紹介する
  原田マハさんの本も
  『キネマの神様 ディレクターズ・カット』となっていますが
  これは元も作品と
  かなり違います、異本ですよ、という意味です。
  何故そういう形になったのかは
  書評にも書きましたが
  原田マハさん原作の『キネマの神様』を映画化するにあたって
  山田洋次監督が大幅にその内容を
  変更したためです。
  私はこの対応について
  原田マハさんのやりかたを良しとします。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  まったく新しい『キネマの神様』                   

 原作のある物語などを、映画やドラマ化できるように脚本にすることを「脚色」というが、原作者によっては改変されることをひどく嫌がる人もいる。
 場合によっては制作された映画の公開を嫌がる原作者もいる一方で、原作と映画は全く別物と関わらない人もいる。
 原田マハさんが2008年に発表した『キネマの神様』が山田洋次監督で映画化されるという話を聞いたのは2019年のこと。
 その後主演予定だった志村けんさんがコロナ感染で亡くなってしまうという悲しい話があったものの志村さんの一回忌に制作終了の会見があったが、今回の映画化では沢田研二さんと菅田将暉さんのW主演となっている。
 あれ? 原作ではギャンブル依存症の父親が映画評論によって覚醒する家族の話であったはずで、W主演の要素はなかったはずだが。

 映画化の話が進むうち、原田さんの元に出版社の担当編集者からこんなメールが届いたという。
 「脚本は原作とまったく違う内容になっています。この内容にどうお応えするかは、マハさんにお委ねします」
 この本、すなわち「ディレクターズ・カット」版は、原田マハさんの答えなのだ。

 原作とまったく違う内容の脚本を、原田さんは見事に自身の小説にしてしまったのだ。
 最初の原作を執筆している時、原田さんに主人公であるギャンブル依存症の父親とそれを許してきた妻の、若い頃の姿がどこまで想像できていたのだろうか。
 おそらく、今回の作品を執筆している間に、原田さんはまったく新しい原田マハの『キネマの神様』と向き合っていたにちがいない。
  
(2021/06/02 投稿)

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
Secret

TrackBackURL
→http://hontasu.blog49.fc2.com/tb.php/4710-8fbacf6b