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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日野原一夫さんの
  『回想 太宰治』という本を紹介しましたが
  随分昔に読んだきりだと思っていたのですが
  2018年の太宰治歿後70年の時に
  再読していました。
  やれやれ。
  ということで
  今日は太宰治の『東京八景』という短篇を
  紹介するのですが
  これは久しぶりの再読だと思います。
  本箱に並んでいる
  ちくま文庫の「太宰治全集」は
  1988年に刊行されたとあります。
  結局太宰治のこの文庫全集は
  手離せなかったです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  太宰治中期の名作短篇                   

 太宰治の文学は大きくいえば、三つの時期に分かれる。
 初期の懸命に何かになろうともがいていた頃、井伏鱒二の世話で平和な結婚生活を送っていた頃、そして敗戦を経て死への傾斜をたどる晩年期。
 昭和16年(1941年)、「文學界」に発表したこの短編は、結婚して2年めにあたる太宰32歳の頃のもの。
 作中、太宰は「はじめて私は一息ついた。」と綴ることになる時期である。

 故郷から呼び寄せた最初の妻小山初代(作中ではHとなっているが、太宰の読者ならそれが初代のことだと必ずわかる)との哀しい時間、度重なる心中事件、生家への不義理が綴られるこの作品は、短篇ながら太宰の人生を透かし見るようで太宰の文学では欠かせない作品になっている。
 東京でのそんな悲しい日々を追慕しながらも、この作品がけっして暗いだけのものではないのは、出征する義理の弟になる青年を見送る最後の場面の明るさがあるからだ。
 明るさというよりも軽みといった方がいいかもしれない。
 見送る太宰の滑稽な姿があればこそ、この作品には救いが生まれている。
 おそらく太宰ファンにとっては、だから太宰はいいのだといいたくなる作品だと思う。
  
(2021/06/10 投稿)

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