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プレゼント 書評こぼれ話

  太宰治の作品は青空文庫でほとんど読めます。
  インターネット上の電子書籍である青空文庫のいいところは
  読了するのにどれぐらいかかるか
  その目安が載っている点です。
  例えば
  今日紹介する太宰治の『ヴィヨンの妻』の場合
  約52分となっているから
  ゆっくり読んでも1時間ほどで読めることがわかります。
  自分の空き時間をうまく使えば
  そこにちょうどはまる名作を見つけることができます。
  私はスマホにも青空文庫を登録しています。
  そんな電子書籍を駆使して
  太宰治を読破するのもいいかもしれません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  何度読んでもこの短編は素晴らしい                   

 昭和22年3月に発表された太宰治屈指の短篇小説。
 文庫本にしてわずか30頁ほどの作品だが、その完成度は高い。
 戦争時に空襲に罹災し、生家である青森に疎開していた太宰が東京に戻るのが、戦争が終わった翌年の昭和21年の秋のこと。
 そこから死の年昭和23年までほんの短い時間である。
 そのわずか2年ばかりに太宰は人々の記憶に残る「晩年」を送ることになる。

 この短編は、その「晩年」をまさになぞったような作品である。
 なんといっても、書き出しがいい。
 深夜に帰宅してなにやら探している夫。妻である私は気づいたが黙って寝たふりをしている。そこに怒鳴り込んでくる中年の夫婦。
 まるで疾走するかのような物語の展開に、読者はたちまち太宰の世界に連れ込まれていくはずだ。
 夫はナイフで脅してそのまま逃走。残された妻が夫婦から話を聞けば、彼らは飲み屋の夫婦で夫は彼らの店に入り浸ってお金をほとんど払っていない。しかも、今夜は店のお金まで盗んだという。
 妻は翌日から彼らの店で働くことで、夫の借金を帰そうとする。
 けなげな妻は、夫にどんなにひどい仕打ちを受けても、夫を待ち続けている。
 これは夫婦の愛情物語ではない。
 男と女の、切ない道行のような物語なのだ。しかも、妻は生きることにも貪欲なのだ。

 太宰はこの妻に女性の理想を求めたのだろうか。
 いや、この妻こそ太宰自身が目指した人間像だったような気がする。
  
(2021/06/18 投稿)

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