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プレゼント 書評こぼれ話

  第142回芥川賞候補作のなかから、
  最終選考で競いあった三作品を
  読み比べるという企画の、
  今日は2冊目。
  舞城王太郎さんの『ビッチマグネット』。
  舞城王太郎さんの作品は前々から気になっていたのですが、
  今回の『ビッチマグネット』が私にとって
  初舞城体験となりました。
  芥川賞の選考会では、
  「自分の物語を獲得していく成長物語」と
  評価を得たらしいですが、
  うーむ。
  って、ところでしょうか。
  この作品はかなり評価が分かれそう。
  あなたはどう感じました?

  じゃあ、読もう。


ビッチマグネットビッチマグネット
(2009/11/27)
舞城王太郎

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sai.wingpen  平成版『おとうと』                     矢印 bk1書評ページへ

 ビッチマグネット。ビッチ、酷いとかイヤなという意味、ばかりを引き寄せる磁石のこと。
 舞城王太郎の第142回芥川賞候補作『ビッチマグネット』は、そのように自身のことを嘆く友徳という弟をもった香緒里と、女をこしらえて家を出た父と静かにひきこもる母の、四人の家族が織りなす家族小説であり、その中心点ともいえる香緒里の成長物語でもある。

 舞城の文体そのものがビッチマグネット的で作品の前半はとても読みづらいが、頁を繰るごとにそれはそれでひとつの魅力に感じられてくるのは、舞城のうまさといっていい。現代をいう時代を描くにはこういうビッチな文体もありうるように思えてくる。
 香緒里という姉と友徳という弟の関係は、どことなく幸田文の名作『おとうと』の姉弟のそれによく似ている。幸田の作品でも不良にかぶれて荒んでいく弟はビッチマグネットだったが、あの名作を平成の時代に写しとると、こういう作品になるのかと、それもまたひとつの興味であった。

 結局は主人公の香緒里そのものがビッチマグネットなのである。父も母も弟も、父の愛人も彼女の恋人も弟の彼女も、すべてがビッチなのだ。そんなたくさんのビッチで、香緒里自身ができあがっている。
 香緒里だけではない。現代もまたたくさんのビッチでできている。そういう視点を作品に感じるが、それを作品として完成させるにはいささか小品になりすぎているように思える。
 もはや長編小説でしかこの時代を表現しえないかもしれないし、もし中短編小説としてまとめあげるには、もっと物語の整理が必要だろう。

 この作品の好き嫌いは読み手によってさまざまだろう。私は作品の中盤以降は嫌いではない。
  
(2010/02/01 投稿)

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