10/28/2021 開高健の本棚(開高 健):書評「眼を見開け、耳を立てろ、と開高健は云った」

読書週間が始まったので
今日は本の写真がきれいな一冊を
紹介します。
『開高健の本棚』です。
表紙の写真は
茅ヶ崎の開高健邸の書斎の机に並ぶ本で
最晩年の開高健が使っていたままだそうです。
今ここは
開高健記念館として
見学もできます。
ここに行ったのは随分前になりますが
海岸も近く
ここで開高健が執筆に苦しんだり
アマゾンの釣り紀行の計画を練ったりしたのかと
開高健ファンにとっては
聖地のような場所といえます。
じゃあ、読もう。

「本棚を見ればその人がわかる」と、昔をよく言われたものです。
最近は電子書籍も流通して、本棚に本が並ぶということも少なくなっているかもしれません。
まして、本を読まない人が多くなってきていることを考えれば、本棚というものも持っていない(当然そこに並ぶ本もない)ということも考えられます。
その点、開高健は子供の頃にすでに「古本屋のオジさん」になりたかったというくらいですから、戦時期でありながら「読んで読んで読みつづけた」という。
さらにその頃の友人に本の収集に没頭したものがいて、彼の住処に忍び込んでは風呂敷いっぱいに本を詰め込んで、紙魚(しみ)のように読んでいたと、本人が書いている。
では、開高の本棚にはどれだけの本が残されたかというと、これが生前の半分にも満たないという。(開高健が亡くなったのは1989年12月で、まだ58歳という若さだった)
なぜかといえば、彼が本を収集することに執着しなかったからで、読む前には箱であったり帯といったものを取り除き、読み終われば若い人にあげたり、古本屋に売ったそうだ。
それでも、この本の美しい写真で紹介されている開高健の蔵書となれば、一体どんな本が本棚に並んでいたのかと、眼を凝らしてしまう。
それにしても、本の写真というのはどうしてこんなにも美しいのだろう。
そんな写真に挟まるように、開高が残した本についてのエッセイの類が数編。
どちらが栞かわからないが、開高健曰く「読め」ということになる。
(2021/10/28 投稿)

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