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 昨日紹介した
 噺家柳家小三治さんの
 『どこからお話ししましょうか』という自伝に
 自身に初恋を語っているところがあります。
 思いを寄せる女の子に
 好きといえなかった自身の姿を
 一本の映画とともに語っている、
 けっこうしんみりするところです。
 今日はその映画、
 「野菊の如き君なりき」の話をしましょうか。

  

 映画「野菊の如き君なりき」は
 1955年(昭和30年)に公開された
 木下恵介監督の代表作のひとつです。
 この年のキネマ旬報ベストテンでは3位にはいっていて
 作品としてもよく出来ています。
 原作は伊藤左千夫の『野菊の墓』。
 15歳の少年政夫と2歳年上の従妹民子の淡い恋を描いた作品です。
 のちに松田聖子さん主演で映画化もされています。

 お互いに好きといえず、
 互いに花に例えて
 「民さんは野菊のような人だ」「僕は野菊が好きだ」なんて
 うーん、じれったい。
 でも、それがいいんですよね。
 ただ周りからいろんなことを言われて、
 政夫は寄宿舎へ民子は他家へ嫁がされていきます。
 有名な小説なので
 その結末は書いてしまいますが
 民子は政夫のことが忘れられず、病に倒れ、
 亡くなってしまいます。
 映画は、73歳になった政夫がすっかり変わってしまった
 故郷に帰ってくるところから始まり、
 少年の頃のことを回想する構成になっています。

 73歳の政夫を演じているのは
 名優笠智衆さん。
 小三治師匠もこの作品で
 「絶対的なファンになっちゃいました」と話しています。
 知らべると
 笠智衆さんは1904年生まれですから
 この作品当時はまだ50歳ほどですが
 なんとも見事な老け役です。
 小津安二郎監督の「東京物語」(1953年)でお父さんを演じた時
 まだ50前ですから
 驚きます。
 今時の俳優さんは若く見せようとしますが
 笠智衆さんは真逆をいく名優だったといえます。
 政夫のお母さん役の杉村春子さんもいい。
 こういううまい俳優がいると
 映画もしまります。

 小三治師匠は
 一番好きな映画と聞かれると
 いつもこの映画を挙げるといいます。
 「私のバイブル」とまで言ってもらえて
 映画の方もうれしいのではないでしょうか。

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