05/24/2022 炎環(永井 路子):書評「大河ドラマ見るなら欠かせない一冊」

今回の
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見るまで
鎌倉時代成立のことなど
ほとんど知りませんでした。
源頼朝、源義経、北条政子の名前ぐらいは
知っていましたが
政子の妹、いわゆる阿波局が
頼朝の異母弟である全成と結婚したことなど
まったく知りませんでした。
さらにいえば
その頃を舞台とした歴史小説が
直木賞をとっていたことも
知りませんでした。
今日は
直木賞受賞作
永井路子さんの『炎環』を
紹介します。
大河ドラマをご覧の方なら
必読の一冊です。
じゃあ、読もう。

第52回直木賞受賞作。(1955年)
鎌倉時代の初めの頃を描いた「四章から成る長編でもなければ、独立した短編集でもない」と作者自身の言葉が残っている。
では、この4つの物語はどうなのか。
作者の言葉が残っている。
「一人一人が主役のつもりでひしめきあい傷つけあううちに、いつの間にか流れが変えられてゆく―そうした歴史というものを描くため」と。
四つの物語の主人公はこうなっている。
最初の「悪禅師」では源頼朝の異母弟の全成、次の「黒雪賦」では頼朝を補佐しながら最後は滅ぼされる梶原景時、「いもうと」は北条政子の妹でのちに全成の妻になる保子(彼女の名前はあまりよくわかっていないようで、現在放映中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では実衣となっている)、そして最後の「覇樹」は北条義時が描かれている。
この作品の直木賞選委員の選評で「鎌倉時代を知る作家には、折角の知識も、それほど高く評価されなかったが、少なくともその知識を気楽に扱えるだけ、消化し、自分のものにしていることは事実である」という今日出海氏の評や「この作者は史料の勉強家で、史料のなかから小説の題材を発見するのにすぐれた資性を持っている」という松本清張氏の評など、新しい歴史小説作家の登場に発表当時多くの期待が集まっていたことは間違いない。
そして、実際今読んでも面白い。
決してメインではない人物を描きながら、作者が言うように、確かに歴史はそういう人たちによって作られたことを忘れてはならない。
(2022/05/24 投稿)

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