08/30/2022 芥川賞選評を読む - 雑誌を歩く 「文藝春秋」9月特別号

第167回芥川賞は
候補作5作が全員女性という初めてのことで
話題になっていましたが、
発表のあった際にも
選考委員の川上弘美さんに「女性」と「時代の変化」といった答えを
ひきだそうとしたテレビ局があったと
問題にもなりました。
その際の川上弘美さんの答えは
「女性です、男性ですって一言で言っちゃうところがもう小説的でないような気がするんで…。」と
戸惑っているふうでした。

今月出た「文藝春秋」9月特別号の
受賞作の全文掲載と選評の発表で
なにかそのことに対し、
選考委員からコメントがあるかと期待(?)していたら、
ありました、ありました、
山田詠美選考委員がのっけからズバッと
某報道番組をバッサリ。
題して「世相と時代の怪」。
選評から抜粋すると、
「今回の女性候補者たちは「男女機会均等法枠」で選ばれたのではなく、
小説作品の質が高いから最終的に残ったのである。
小説の出来に「均等」なんてないよ! そこ、ヨロシク。」と、
小気味いい。

今回の事件をスルーして、
選評には一言も書いていない。
そのうえで、今回の受賞作について
「この小説の中の人たちは、生きているのです。
生きているから、矛盾するし、ゆらぐし、へんな時もすっきりした時もある。」と
高評価です。
あの時、川上弘美さんに質問したTV局の人は
もしかしたら小説に登場する人たちよりも生きていないかも。
『おいしいごはんが食べられますように』をしっかり読むといい。

松浦寿輝選考委員の評で
受賞作を「これはほとんど恐怖小説」と讃えている。
なるほど、あの作品をそう読んだか。
だから、小説は面白いんだ。

ほかにも高瀬隼子さんの「受賞者インタビュー」や
「受賞のことば」も載っています。
子どもの頃に通っていた地元の小さな本屋さんとの思い出をからませた
「受賞のことば」は心がホッとする、
いい文章でした。

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