
今日は二十四節気のひとつ、
秋分。
昼と夜の時間がほぼ同じ日で、
これから冬至に向けて
昼が短くなってきます。
落ちてゆく重さの見えて秋没日(あきいりひ) 児玉 輝代
夜が長くなってくると
ミステリー小説も面白くなってきます。
今日はアガサ・クリスティーの
『バートラム・ホテルにて』という
ミス・マープルものの作品を紹介します。
いつもの霜月蒼さんの
『アガサ・クリスティー完全攻略』の評価は
★★★☆ですが、
私はもう少しきつい評価で
★★かな。
じゃあ、読もう。

アガサ・クリスティーが1965年に発表した「ミス・マープルもの」で、ミス・マープルが活躍する長編小説としては終わりから三番目となる。
原題は「At Bertram’s Hotel」で、邦題はそれを踏襲している。
まず驚いたのは、この作品に「ビートルズ」の名前が出てくること。
「例の髪を長くした」という形容詞までついている。
アガサの時代とビートルズの時代が重なりあっていることに驚いたのだが、1965年の発表というと日本でいうなら昭和40年世代もまたアガサと重なりあう。
つまり、アガサ・クリスティーは実に長い間、現役のミステリー作家として活躍していたことの証だろう。
さて、この作品だが、ミス・マープルは確かに登場するが、彼女の推理が犯罪を暴くというより、たまたま犯罪の舞台となったバートラム・ホテルに彼女が投宿していて、事件の証言者となったぐらいで、彼女の活躍を期待する読者にとっては物足りないだろう。
この作品では事件を解決するのは、「おやじさん」と呼ばれるロンドン警視庁のデイビー主任警部だ。
日本の刑事ドラマで伊東四朗さんが演じる役どころと近い。
しかも、今回の事件は古色蒼然としてホテルが舞台で、犯罪も大掛かりな組織によるもので、さすがにミス・マープルが扱うというには大きすぎたといえる。
やはり、彼女にはセント・メアリ・ミード村に起こる小さな事件や人物からの類推で、殺人事件などを解決する、その手法が似合っているし、私は好きだ。
(2022/09/23 投稿)

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