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 短編集『夜に星を放つ』で第167回直木賞を受賞した窪美澄さんの
 受賞後第一作となった『夏日狂想』は長編小説で
 受賞後とはいえ実際雑誌「小説新潮」に連載されていたのは、
 2020年秋から翌年にかけてのもので、
 これをもって受賞後第一作とは言い難い。
 それに、中原中也小林秀雄と関係のあった長谷川泰子をモデルにしたような
 そんな創作意思が、果たして窪美澄さんらしいかというと
 それも違うような気がする。

    

 もちろんこの作品をモデル小説と呼ぶのは正しくないかもしれない。
 あくまでも、大正から昭和にかけて男性たちとの恋愛と自らの夢をめざして
 生きた一人の女性が、最後には「書く」ということで己を見つけるという構成は
 窪さんのある意味、書くことへの決意のようなものであったかもしれない。
 しかし、窪さんなら、昭和の文壇史を利用することなく
 その決意は描けたのではないだろうか。

 なまじっかモデル小説の様相になっているから、この登場人物は誰がモデルかと
 つまらない憶測までしてしまう。
 その一方で、太宰治川端康成が実名で作品に登場するのだから、
 全体のバランスが崩れてしないだろうか。

 窪美澄さんらしい、直木賞受賞第一作が読みたい。

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