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 先日読んだ藤野千夜さんさんの『団地のふたり』の載っていた
 著者の簡単なプロフィールで
 2020年に出た『じい散歩』が話題になったとあったので
 読んでみた。
 というのも、『団地のふたり』の読後感が気に入ったというのもあって、
 藤野千夜さんの作品をまた読んでみたいと
 思ったせいでもある。
 『団地のふたり』の心地よさは
 50歳になって独身の二人の同級生が
 そういう生き方をとても楽しんでいることのそれといっていい。
 しかも、彼女たちだけでなく、親たちも自然に受け止めているのも素敵で
 こんなところに人間の本来のありかたが現れるのだろうと思った。

  

 『じい散歩』は、『団地のふたり』よりも
 もっと驚く家族小説だ。
 主人公は89歳になる新平。健康維持につとめ、散歩が日課で、
 ふらりと建物を見たり、喫茶店でお茶したりしている。
 若い頃の浮気癖はなくなったが、まだエロには興味がある。
 妻の英子は88歳。やや認知症が出てきたようで、
 新平の浮気を今でもしきりに疑っている。
 彼らには三人の息子がいて、みんな50歳をすぎたあたり。
 ところが、長男は引きこもり、次男は自称「長女」、三男は借金まみれ。
 と、かなりおかしい家族だ。

 そんな家族のどうということのない、あるいは結構波乱にとんだ、日常が
 新平の散歩の姿とともに描かれている。
 おかしい家族であるはずなのに、
 この家族のなんというおおらかなことか。
 世間を気にすることなく、世間を見て歩く、その姿に
 やっぱりこの作品にも、人間の本来のありかたが
 見えるようであった。

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