FC2ブログ

本 年が明けてから、何度か開高健さんの話を書いたので、
 その勢いで、「私の好きな作家たち」の、第三回は「開高健」さんでいきます。

本 開高健さんを初めて読んだのは、あまり記憶にないのですが、
 やはり大江健三郎さんを読んだのと同じ頃、
 高校生の頃だったように思います。
 あの頃、私の中で気鋭の作家といえば、開高大江は常にセットでしたね。
 ちなみに二人の芥川賞受賞歴は、開高が昭和32年下半期に『裸の王様』で、
 大江が翌年昭和33年上半期に『飼育』で受賞されています。
 私が開高を知った時は、もうすでに真ん丸い、人懐っこい顔をされていましたが、
 芥川賞受賞の頃は、びっくりするくらい痩せて神経質そうな顔をしています。
 人間はいかに変わるか。

本 そういえば、受賞作の『裸の王様』とか初期の『パニック』『巨人と玩具』などの作品は
 大江以上に精錬された都会的なセンスにあふれています。
 それはそれで魅力的なのですが、
 なんといっても受賞後の『日本三文オペラ』とか『ロビンソンの末裔』などの圧倒的な
 筆力は、文学の面白さを教えてくれました。
 続く、『青い月曜日』などの自伝的作品も何度も読みました。
 だから、開高と奥さん牧羊子さんの出会いなどは、完全に人ごとなのですが、
 いとこの恋愛事情よりよくわかっている感じです。

本 話はぐっと飛びますが、開高健が亡くなった時、弔辞を
 あの司馬遼太郎さんが読んでいます。
 すごく違和感がありました。多分司馬さんにもあったと思います。
 あれって、牧羊子さんが無理やりお願いしたんじゃないかって
 今でも思っています。
 司馬さん自身がその弔辞の中で、「いかにも縁うすきかかわり」って
 言っています。
 別に司馬さんに弔辞を読んでもらわなくても、開高健の偉業は
 色あせらなかったと思うのですが。
 ちなみに、この弔辞は、司馬さんの『十六の話』という本に収められています。

本 開高健の話はサントリーの広告の話とか、
 『輝ける闇』『夏の闇』とかいった名作とか。
 『オーパ!』の釣りの話、食の話、いろいろ尽きないのです。
 また、機会があったら、書きたいと思います。
 尽きないことが、開高健の魅力でしょう。

本 最後に、2002年に書いた書評を蔵出ししておきます。
 当時から「悠々として急げ」って書いているのが、
 我ながらおかしいですが。

開高健  新潮日本文学アルバム〈52〉開高健 新潮日本文学アルバム〈52〉
(2002/04)
不明

商品詳細を見る


sai.wingpen  巨人と玩具                     矢印 bk1書評ページへ

 開高健が亡くなって、13年経つ。
 たくさんの水が橋の下を流れて、開高の豊饒な容姿も、図太い声も、あっけらんかんとした関西弁も、遠く下流まで流れて行った。新潮日本文学アルバムの、このシリーズの最終刊行となったこの本で、久しぶりに開高の人なつこい笑顔を見ると、この作家を失ったことの日本文学の痛みを思わずにはいられない。
 さて、開高の文学とは何であったかということを考えると、ベトナム戦争に代表される<巨大なもの>と釣りや美食に描かれた<ささやかなもの>との間を、何度もなんども行ったり来たりしていたような気がする。それは、人生そのものを築きあげようとした人間の苦悩ともいえる。開高の、そんな真摯な姿を忘れないでいたい。
 諸君、「悠々として急げ」。
  
(2002/05/13 投稿)

Secret

TrackBackURL
→http://hontasu.blog49.fc2.com/tb.php/53-c7b44cbf