01/13/2023 三菱銀行人質強殺事件(福田 洋) - 記憶のなかで蠢いているもの

この映画を観てから、昭和54年(1979年)1月26日に実際に起こった
昭和の犯罪史に残る「三菱銀行人質事件」の犯人の狂気が
どのように生まれ、どうなされていったのか気にかかって仕方がない。
映画では犯人梅川昭美が銀行に押し入るところで終わっているが、
もちろんこの事件や犯人の風体が多くの人に記憶されるのは
銀行に押し入ってからの
犯人の狂気が世間の人たちの常識を超えていたからだ。

1982年(奇しくも高橋監督の映画公開と同じ年度)に
『野獣の刺青-三菱銀行42時間12分の密室ドラマ!』として刊行され、
1996年に現代教養文庫の「ベスト・ノンフィクション」の一冊として
あらためて出版されたもの。
ノンフィクションとはいえ、「主要登場人物の内面は、かなりの造型を加えてある」と
福田氏自身がしたためている。
この「主要登場人物」とは、すなわち射殺されその内面の動機が解明されなかった
犯人梅川だろうし、
この事件にかかわった警察関係の人だろう。

やはりノンフィクションに分類されていいのだろう。
なので、この作品の半分以上は事件発生後の動向だが、
高橋監督の映画以上のインパクトをもたらすものではない。
もしかしたら、フィクションとノンフィクションの、
それは揺れ幅の違いに由来するのかもしれない。


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