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 まだ高橋伴明監督の映画「TATTOO<刺青>あり」(1982年公開)の余波にいる。
 この映画を観てから、昭和54年(1979年)1月26日に実際に起こった
 昭和の犯罪史に残る「三菱銀行人質事件」の犯人の狂気が
 どのように生まれ、どうなされていったのか気にかかって仕方がない。
 映画では犯人梅川昭美が銀行に押し入るところで終わっているが、
 もちろんこの事件や犯人の風体が多くの人に記憶されるのは
 銀行に押し入ってからの
 犯人の狂気が世間の人たちの常識を超えていたからだ。

  

 福田洋氏による『三菱銀行人質強殺事件』は
 1982年(奇しくも高橋監督の映画公開と同じ年度)に
 『野獣の刺青-三菱銀行42時間12分の密室ドラマ!』として刊行され、
 1996年に現代教養文庫の「ベスト・ノンフィクション」の一冊として
 あらためて出版されたもの。
 ノンフィクションとはいえ、「主要登場人物の内面は、かなりの造型を加えてある」と
 福田氏自身がしたためている。
 この「主要登場人物」とは、すなわち射殺されその内面の動機が解明されなかった
 犯人梅川だろうし、
 この事件にかかわった警察関係の人だろう。

 とはいえ、「事件の発生、推移、結末、および犯人、捜査側の動きは、事実に従った」とあるから、
 やはりノンフィクションに分類されていいのだろう。
 なので、この作品の半分以上は事件発生後の動向だが、
 高橋監督の映画以上のインパクトをもたらすものではない。
 もしかしたら、フィクションとノンフィクションの、
 それは揺れ幅の違いに由来するのかもしれない。

 私にとって、この事件は記憶の中で蠢いている。

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