01/27/2023 黄色いアイリス(アガサ・クリスティー):書評「短編集の面白さは編集の力かも」

アガサ・クリスティーの読書も
50冊を超えてきて、
どれを読んで、どれが未読なのか、
忘れない覚書として
いつもアガサ・クリスティーの副本として利用している
霜月蒼さんの『アガサ・クリスティー完全攻略』の
作品名がはいった目次に
目印をつけています。
今回の『黄色いアイリス』は短編集。
霜月蒼さんの評価では
★★★で、
そのあたりが妥当かな。
この目次、次何読もうかと探すのにも
最適。
さて、次は?
じゃあ、読もう。

ミステリー小説は長編と短編となら、やはり長編の方が面白いという人が多いと思う。
作品自体も長編の方が多いのではないだろうか。
長編の場合、登場人物を多くできる分、事件の動機や背景が複雑となる。
読み応えとよく言われるが、その点において、長編の方が短編に勝るような気がする。
ただ、短編の場合であれば、短編集となって編まれることが多いので、いろんな味わいを楽しめる利点がある。
さすがにこれは長編にはない。
アガサ・クリスティーの『黄色いアイリス』という短編集は、1939年にアメリカで刊行された「The Regatta Mystery and Other Stories」から一部日本で作品を加えて編まれたもの。
「The Regatta Mystery」は本書の冒頭に収められた「レガッタ・デーの事件」の原題。
この短編集ではポアロ物が5篇、ミス・マープル物が1篇、パーカー・パイン物が2篇、それと幻想小説が1篇収められているから、てっとり早く、アガサの人気キャラクターの活躍を楽しめるようにはなっている。
日本版での表題作となっている「黄色いアイリス」は、ポアロ物の短編小説で、作品としてはうまく出来ている。ただ、やはり短編だと犯人探しの愉しみが半減してしまうようで、この作品にしてもたちまち犯人がわかってしまう。
短編なので仕方がないことだが。
この短編集で一番面白かったのは、「仄暗い鏡の中に」という幻想小説だったのは、ポアロファンにもマープルファンにも申し訳ないが、案外短編だからだったかもしれない。
(2023/01/27 投稿)

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