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プレゼント 書評こぼれ話

  アガサ・クリスティーの作品の中で
  クィン氏なる謎の男が登場する作品があります。
  なんとなく霊のような雰囲気をまとった人物ですが
  彼が登場する作品自体が
  幻想的といっていい。
  今日紹介する『死の猟犬』はクイン氏こそ登場しないものの
  アガサ・クリスティーの作品としては
  異色の幻想怪奇作品集といっていい。
  ただ、作品の評価は高く
  いつもの霜月蒼さんの『アガサ・クリスティー完全攻略』では
  ★★★★★の大絶賛。
  私もこれには賛成。
  アガサ・クリスティーは怪奇小説がお好き?

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  アガサはこんな怪奇小説も好きだったようで                   

 これは原題が「The Hound of Death and Other Stories」とあるように、1933年に発表された短編集である。
 ただ「ミステリの女王」と称されるアガサ・クリスティーだが、この短編集はかなり雰囲気が違う。
 アガサの作品と聞かないと、わからないかもしれない。
 この短編集に収録されている作品の多くが(唯一あの戯曲としても映画原作としても有名な「検察側の証人」の小説版がこの短編集ではむしろ異色)怪奇幻想の世界でできあがっているのだから。

 もっともアガサには怪奇幻想の作品がないわけではない。
 ポアロやミス・マープルといった人気キャラクターが有名だが、異色の人物クィン氏が活躍する作品群がある。
 作品では1930年に発表された『謎のクィン氏』という短編集がある。
 その系統の続きとして、この短編集があるといっていい。

 表題作の「死の猟犬」は一人の修道女にとりついた闇の現象を描いた作品。
 「赤信号」は危機の予知能力がありそうな男を巻き込むミステリ、「ランプ」は古い家を購入した家族の前に現れる怪異現象もの、といったような短編が11篇収録されている。
 面白かったのは「青い壺の謎」という短編で、幻聴を男に聞かせることで高価な青い壺を騙し取る話。
 その手口の鮮やかさは、現代の詐欺事件にも劣らない。

 11篇のそんな短編を読んでくると、もうひとつの短編「検察側の証人」が実によく見える。
 この短編集の作品構成が1933年当時のものかどうか知らないが、編集の妙といっていい。
  
(2023/02/21 投稿)

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