05/30/2023 東京日記7 館内すべてお雛さま。(川上 弘美):書評「コロナ禍であっても彼女は彼女」

今日紹介する
川上弘美さんの『東京日記7 館内すべてお雛さま。』は、
書名に「7」とあるように、
シリーズ7冊めの作品です。
最初に刊行されたのは、2005年ですから、
もう18年も前になります。
このブログでもちゃんと全巻紹介しています。
このシリーズを読んで
タメになるとか感動するとかないのですが、
なんでしょうね、
つい読みたくなります。
それって、おいしい水みたいかな。
味ってあまりないのに、
とってもおいしく感じる時ありますよね。
あんな感じの作品です。
じゃあ、読もう。

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、インフルエンザと同様の「5類」に変更されたのは、2023年5月。
だからといって、ウイルスが消えた訳ではないのに、なんだか気分が違う。
コロナが騒がれだしたのが、2020年はじめだから、実に3年という長い期間、私たちの生活はあっちにいったりこっちに追いやられたしたことになる。
日記をつけている習慣の人にとっては、貴重な3年の記録として残っているのではないだろうか。
では、この人の場合はどうだろう。
「WEB平凡」で長期連載となっている川上弘美さんの『東京日記』の7巻目が出た。
連載期間は2019年3月から2022年1月までで、世界中がコロナ禍で暗澹としている時期である。
「新型コロナが日本にもしだいに広がりつつあり、外出や集会の自粛が要請される毎日」と書かれているのは、「三月某日 晴」とあるが、おそらく2020年の3月のことだろう。
続く、「四月某日 晴」、「新型コロナ感染による緊急事態宣言が発出される。」とある。
この時期、世の中はかなり神経質になっているが、川上さんの文章はあまりそう感じない。
それが、この『東京日記』の良さであり、面白さといえる。
何しろ、こんな大事な時期の日記ながら、書名は『館内すべてお雛さま。』なんですから。
それで、一冊の本としてまとめあげられた「2023年初春」、川上さんは「あとがき」にこう書いている。
「それほどに「日常」は強いものであるという驚きがありますが、反対にいえば、「日常」がまだ続いていることのありがたさも、身にしみます。」
なんだかんだあっても、やはり川上弘美さんも緊張していたのかもしれない。
(2023/05/30 投稿)

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