04/18/2010 みずかみかずよ詩集 ねぎぼうず :書評

春だというのに
ヘンな天気がつづきます。
昨日の朝は東京は、
雪の朝でした。
41年ぶりの椿事だそうです。
そんな不安定な気候ですが、
先日(4.15)の朝日新聞「天声人語」に
こんな記事が掲載されていました。
とりわけ今年の4月の「とまどい」は、
思春期の少年少女を思わせる。
行きつ戻りつ、大人の扉ならぬ「季節の扉」を
なかなか開けられない。
うまい表現です。
そして、最後にこうあります。
英国では「三月の風と四月の雨が美しい五月をつくる」とも
言うそうです。
今日紹介する、みずかみかずよさんの詩と
通じるような言葉です。
じゃあ、読もう。
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小学生から読めるように漢字にふりがなのついた、「豊かなことば 現代日本の詩」シリーズの一冊。また一人知らない詩人を見つけました。1988年、「ありがとう」の言葉を残して逝ったという、みずかみかずよの詩集です。
この詩集の書名にもなっている『ねぎぼうず』は、「地底から打ちあげられたロケット」というたったこれだけの詩です。それなのに楽しくなるような詩です。ほほうと感心してしまう詩です。詩人の事物を観る確かな目を感じますし、自由な発想に脱帽します。
脱いだ帽子からもんしろちょうが飛び出しますように。
みずかみかずよは昭和10年(1935年)に福岡で生まれました。詩を書き始めたのは19歳の時。以後、同人誌などの活動を通じて詩作に励みます。45歳の時に彼女の詩が小学校の国語の教科書に採用されます。
そのなかの一つ、代表作でもある『金のストロー』は「雨にうたれて/林はみどりのしずくにすきとおる」と始まり、雨がやんだあと、「お日さまが/金のストローで/みどりのしずくをすいあげた」で終わります。
しずくがみどりなんてことはありません。でも、詩人の目にはそれは「みどりのしずく」なのです。雨がやんだあとに空からさす光の筋を「金のストロー」と表現した心と、それは共鳴しています。
そういう柔らかな感性がみずかみかずよの特徴です。
みずかみかずよの詩を習った子どもたちはいったいどのような目で、空を、木を、花を、虫を見たのでしょうか。
子どもたちの柔らかい心に、みずかみかずよの詩は、どのように見てもいいんだよ、でもしっかり観るんだよ、と語りかけているかのようです。
(2010/04/18 投稿)

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