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 児童虐待のニュースを目にするたびに
 以前であったら、「自分の子供を虐待するなんて特別な事件」と見ていたことが
 「またか」と思ってしまう社会とは
 なんと傷ましいのだろう。
 もしかしたら、人間には自分の子供であっても憎しみを持ってしまう
 悲しい性でもあるのだろうか。
 それでも、そこから光明を見出そうとするのもまた
 人間だからだろう。
 2013年に第28回坪田譲治賞を受賞した
 中脇初枝さんの『きみはいい子』は児童虐待をテーマにした
 5つの作品からなる連作短編集だ。

  

 5つの作品は同じ町が舞台となっている。
 かつて桜並木が立派な町も、住民が増えることで、
 そんな桜にまで苦情がくるようになって伐採してしまった、そんな町。
 校名だけ「桜が丘」と名残りした小学校の校長が
 「よせあつめの町、よせあつめのこども」とついつぶやいてしまうような、そんな町。
 冒頭の「サンタさんの来ない家」は、
 その小学校の新任の男性教師が直面する学級崩壊と
 虐待を受けている一人の男の子の物語。
 「わるい子だから、サンタが来ない」と親に言われる子供に
 「きみはいい子」といってあげる教師。
 しかし、一旦家庭にはいってしまえば、教師といえども立ち入ることは難しい。
 それでも、前を向こうとする教師にやはり応援したくなる。

 「べっぴんさん」は子供の頃に親から虐待をうけた女性が
 自身の子供に虐待をしてしまう短編。
 同じような境遇のママ友に抱きしめられる彼女を誰が責められるだろう。
 「うばすて山」も子供の頃に母親に愛されなかった女性の話。
 その母が年老いて自分の娘のこともわからなくなる。
 施設に預けるまでのわずかな時間ともに暮らして、
 女性はやはり母を捨てていこうとする、たったひとつの灯りをもって。

 そのほか、「うそつき」「こんにちは、さようなら」を収録。
 どんな人であっても、生まれてきたことが幸せと実感できたら
 どんなにいいだろう。
 そんな願いがこもった作品だ。

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