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 この本の著者田尻久子さんは、
 熊本で「橙書店 オレンジ」という本屋の店主である。
 その一方で、すでに『みぎわに立って』『橙書店にて』など
 数冊の著作ももつ文筆家でもある。

  

 この『これはわたしの物語』はそんな田尻さんが書いた72篇の書評と
 本のことを綴った数編のエッセイで出来ている。
 そのエッセイの中のひとつ、「本をすすめる」で
 「私が書いている文章を「書評」だと言ってしまえばおこがましいし、
 書評家や研究者の方々に失礼な気がする。」と書いているが、
 なんのなんの、田尻さんの文章は
 とても丁寧で、その本への目線がやさしい。
 いってみれば、おいしい珈琲を頂いたような文章である。
 香りが深く、味わいが濃い。

 田尻さんがこの本の中で紹介している本に
 意外に海外文学(田尻さんは「翻訳文学」と書く)が多いことに気がつく。
 これもエッセイの中のひとつ、「国境を越える蝶」の中で
 「私は自身を持って翻訳小説をおすすめする。
 翻訳物には「当たり」が多いと思っている。他国で刊行されている時点で、
 その本にはすでに多くの読者がいるはずだから。」と書いている。
 そして、翻訳者への感謝の言葉が続く。

 田尻さんは「あとがき」にこう記している。
 「文章はつたなくとも、すすめた本を読んでほしいという気持ちは確か」と。
 そして、「ここに登場する本を一冊でも読みたくなってくださいますように。」と。
 きっと、そんな本がこの本から見つかりますよ。

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