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 新人作家として注目を集め出した女性、朝陽。
 ただし、彼女はペンネームを使う。それが有日。
 朝日はゲームセンターで正社員として働いている。
 まわりの人たちは彼女が作家であることを知って、少しざわついている。
 しかし、作家なのはもう一人の女性、有日。
 つまり、ざわついている対象は有日のはず、だと朝陽は思っている。
 そんな彼女が2作めとして執筆している作品と、
 それを書いている朝陽の暮らしを二重写しのようにして描かれているのが、
 表題作でもある中篇『うるさいこの音の全部』。
 (相変わらず高瀬隼子さんのタイトルは絶妙)
 そして、その執筆していた作品がなんと芥川賞を受賞し、
 その騒動のなかで朝陽と有日が微妙にずれていく姿を描いた
 短編『明日、ここは静か』を収めたのが、この本。

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 高瀬さん自身、2022年に『おいしいごはんが食べられますように』で
 第167回芥川賞を受賞しているから、どうしてもこの2篇の作品を読むと、
 高瀬さん自身の実体験によるものかと考えてしまう。
 読者は時に小説に描かれた人物やものごとが
 作者とその周辺のことと同一化してしまうものだから、
 高瀬さんにもこの作品で描かれたようなことがあったのかもしれない。
 そもそも現実の世界で生活を営む人間と物語を紡ぎだす人間は
 同じ世界の中に存在しうるのだろうか。
 本当と嘘。
 この世界が本当で、物語で描かれるのが嘘、なんていうことで割り切れるのだろうか。
 そんな世界を描いて、高瀬隼子という作家は何処へ向かおうとしているのだろう。

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