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プレゼント 書評こぼれ話

  書評にも「日付」があっていいのではないかという気持ちがあります。
  ですから、今日はどうしても「オバマ」を書きたい。
  新聞の夕刊紙に載っていた就任演説全文にも目を通しました。
  でも、それをどう「料理」するか。
  この本を今日読んだのはまったく偶然でしたが、
  この本が、言葉(あるいは詩)で出来ていてすぐ読めたということもありますが、
  これなら、「日付のある」書評が書けると思いました。
  それで書いたのが、今回の書評です。
  書評を書いていて、オバマ新大統領は決して谷川俊太郎さんの詩を知らないはず
  なのに、言葉というつながりを実感しました。
  それほどに谷川さんの言葉(あるいは詩)の力は強いのだと思います。
  
生きる わたしたちの思い生きる わたしたちの思い
(2008/07/30)
谷川 俊太郎 with friends

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sai.wingpen  生きているということ            矢印 bk1書評ページへ

 その日、ワシントンは零下二度だった。
 その凍てつく寒さの中、第44代アメリカ大統領となったオバマ氏は、その就任演説の最後にこう語りかけた。
 「アメリカよ。・・・希望と美徳をもって、凍てついた流れに再び立ち向かい、どんな嵐が来ようと耐えよう。私たちの子供たちのまた子供たちに、私たちは試練のときに、この旅が終わってしまうことを許さなかった、と語られるようにしよう。・・・そして、地平線と神の恵みをしっかり見据えて、自由という偉大な贈り物を受け継ぎ、未来の世代にそれを確実に引き継いだ、と語られるようにしよう」(朝日新聞・1月21日夕刊より)
 20分にわたる演説全体は期待以上の高揚を煽るものではなかったが、この最後の件(くだり)は深い示唆に富んでいる。
 ここでの言葉に、今ここに「生きている」私たちがなすべきことだという、心の諒解がある。
 それはアメリカ国民だけではない。
 地球という星に今「生きている」、私たちができうること。
 それは「未来の世代」に私たちが「生きた」ということをつなぐこと。
 本書は谷川俊太郎さんの『生きる』という詩を核にして、MiXiのコミュニティに立てられたトピック「生きる」に投稿された、多くの言葉(あるいは詩)と投稿者たちのコメントから出来上がっている。
 それぞれに顔は見えない。
 しかし、その言葉(あるいは詩)の向こうに、たくさんの「生きる」が表現されている。

 核となった谷川さんの『生きる』という詩の一節はこうだ。
 「生きているということ/いま生きているということ/それはのどがかわくということ/木漏れ日がまぶしいということ /ふっと或るメロディを思い出すということ/くしゃみをすること/あなたと手をつなぐこと」。
 そして、この詩の「生きているということ・・・ということ」をそれぞれが表現していく。
 例えば、「トロロ」というハンドルネームの人は、「クレヨンの先が丸くなること」と書く。わずか13文字の世界だが、これは「トロロ」さんが感じた「生きているということ」だ。
 谷川さんは本書の巻末に掲載された投稿者たちとの「座談会」で「詩を読むっていうことは自分を読むことなんじゃないかな」と語っている。
 つまり、先の言葉(あるいは詩)は、「トロロ」さん自身だということだ。
 そして、誰もがそれぞれの「生きているということ」を持っているのだ。なぜなら、誰もが今ここに「生きている」から。

 冒頭の演説も、「生きているということ/今生きているということ」につづく言葉(あるいは詩)として読んだ時、それもまたオバマ新大統領自身が読んだ生命の歌だといえはしないか。その生命の決意に多くの人が期待している。
(2009/01/21 投稿)

  
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