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プレゼント 書評こぼれ話

  私は日本の小売業がしばしば「業態論」に終始することを
  危惧しています。
  最近さかんに「百貨店」の衰退が言われていますが、
  「業態」という壁を突破しない限り、「百貨店」の再生はないかもしれません。
  「百貨店」をダメにしているのは「百貨店」自身だと思います。
  それはスーパーもそうですし、コンビニエンスもそうです。
  「ユニクロ」は専門店というくくりでしょうが、
  そういうものを超えたところに今の「ユニクロ」はあると思います。
  だから、顧客のニーズにこたえることができるのではないでしょうか。
  要は「売れる」か「売れない」か、です。
  小売業はもう一度マーケティングの原点に立ち返ること。
  これが、再生への近道だと思います。
  いかが。
  
挑戦 我がロマン (私の履歴書)挑戦 我がロマン (私の履歴書)
(2008/12/02)
鈴木 敏文

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sai.wingpen  毎日が瀬戸際                  矢印 bk1書評ページへ

 株式会社セブン&アイ・ホールディングスの最高責任者(CEO)である鈴木敏文氏が、日本経済新聞の人気コラムである「私の履歴書」に二〇〇七年四月連載したものを大幅加筆したのが、本書『挑戦 我がロマン』である。
 最近もコンビニエンスの年間売上げが百貨店を追い抜いたという記事が出ていたが、そのコンビニエンスの中でも最も規模が大きいセブンイレブンを日本に持ち込んだ鈴木氏の先を見通す手腕の評価は高い。
 さらには、それを発祥地のアメリカ流でなく、日本流の経営に変えた「仕事力」こそ、鈴木氏の経営の骨格であるといえる。
 本書では、企業拡大のプロセスだけでなく、そのような鈴木氏の経営哲学の至言がふんだんにちりばめられている。
 例えば「われわれの競争相手は競合他社ではなく、真の競争相手は目まぐるしく変化する顧客のニーズそのものである」(4頁)しかり。
 「既存の常識で不可能なら可能になる方法を自分たちで考える。必要な条件が揃っていなければその条件を変えてみる」(128頁)しかり。
 「教育とは答えを教えることではなく、部下に気づきを与えることだ」(187頁)しかり。
 その中で、私がもっとも興味をもったのが「「顧客のため」ではなく「顧客の立場」で考える」(176頁)だった。
 小売業に従事している人の多くは「顧客第一主義」という言葉を口にする。しかし、口にすれども、自分たちの言葉が概念としての「顧客第一」にすぎなくなっていることを、当事者たちはわかっていない。
 あの言葉があることで、実際には鈴木氏のいう「顧客の立場」を見えにくくしているように思えて仕方がない。
 知識でなく知恵としてどう物事を見るかだろう。
 一旦「顧客第一主義」なる呪縛を自ら解いて、「顧客の立場」で商売を見直すべきだ。あとから、「顧客第一主義」とはこういうことだったんだな、と思えるくらいで丁度いい。

 鈴木氏は本書の最後にこう記している。
 「毎日が瀬戸際と思い、一日一日を精一杯生きる。当たり前のことを当たり前に、ただし徹底してやり通す。これが私の生き方だと思っている」(234頁)。
 この締めくくりも単純明快で、私は好きだ。
  
(2009/01/30 投稿)

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