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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介するのは
  坪内稔典さんの『正岡子規 言葉と生きる』という
  岩波新書の一冊です。
  坪内稔典さんは大の子規ファンで
  何冊か正岡子規についての著作があります。
  このブログでも紹介していますので
  興味のある方は検索してみて下さい。
  坪内稔典さんがどれぐらいファンかというと
  正岡子規があんパンが好物と知り、
  坪内さん自身毎朝あんパンを
  食べるのだそうです。
  それももう30年以上続けているそうですから
  お見事なものです。
  坪内稔典さんの正岡子規への愛情あふれた
  一冊がこの本といっていいと思います。

  じゃあ、読もう。

正岡子規 言葉と生きる (岩波新書)正岡子規 言葉と生きる (岩波新書)
(2010/12/18)
坪内 稔典

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sai.wingpen  横丁で遊ぶ子供のように                     矢印 bk1書評ページへ

 司馬遼太郎さんは正岡子規の文章について「呼吸の温かみのあるふだんの声で、しかもただの世事や、ほのかな心境が語られている」と、「言語についての感想」というエッセイのなかに書いています。
 その文章にはつづきがあって、「子規は、横丁で遊ぶ子供のように、仲間をあつめてその共有化のためにささやかな文章改革運動をさえおこした」と記しています。
 こうして私たちが日常何気なくなく使っている文章の端は正岡子規という、わずか34年の短い人生であった、明治人によって生み出されたともいえるのです。

 坪内稔典さんのこの本は「言葉と共に生きた」正岡子規の生涯を言葉という点に焦点をあてたものです。
 子規の短い人生ながら、「少年時代」「学生時代」「記者時代」「病床時代」「仰臥時代」と分け、それぞれの子規の思いを時々の文章とともに写し取っていく方法がとられています。
 少年時代の子規は弱虫で、凧をあげたことさえなかったといいます。それほどの弱虫は大抵苛められるものですが、子規は「言葉による表現活動」で多くの仲間を集めます。そのことは、子規の生涯続きました。
 このエピソードは、漫画の神様といわれた手塚治虫を想起させます。手塚もまた少年時代弱虫でした。しかし、子規と同じように手塚も「漫画による表現活動」で人気者となります。
 言葉であれ漫画であれ、表現することで少年たちの空想の世界を大きく開いたにちがいありません。

 坪内さんは子規の最後の場面に注目しています。それは子規の弟分であった碧梧桐と虚子が書きとめた、子規の母親の言葉です。
 死んでいった子規の骸に「サア、も一遍痛いというてお見」という「母の言葉が最後の最後に子規の言葉と響き合った」と書いています。坪内さんの感傷に近い文章ながら、子規がめざした文章改革がここに極まったと思わせるいい文章です。
 正岡子規は「言葉と関わることで」育ち、そして病床にあって「書くことでその状況を離れて」いきます。そういう生き方そのものが、正岡子規という明治の人をいつまでも愛してやまない人にしているのではないかと思います。
  
(2011/02/07 投稿)

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