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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介する絵本との出会いは
  まったく偶然でした。
  いせひでこさんの絵本が読みたいと
  思ってたまたま手にしたのが
  この『1000の風・1000のチェロ』だったのです。
  その内容は全く知りませんでした。
  それが阪神淡路大震災の復興支援のコンサートの様子を
  描いたものだとはちっとも知りませんでした。
  なんという偶然でしょう。
  東日本大震災でたくさんの悲しみにあっている今、
  私はこの素晴らしい絵本と出会えるなんて
  思いもしませんでした。
  本の神様に感謝します。
  そして、今回被災されたたくさんの人たちに
  希望が届くことと
  祈ります。

  じゃあ、読もう。

1000の風・1000のチェロ1000の風・1000のチェロ
(2000/11)
いせ ひでこ

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sai.wingpen  あたらしいあしたへ                     矢印 bk1書評ページへ

 「忘れられない風景がある」と、この本のあとがきで作者のいせひでこさんは書きはじめています。
 忘れられない風景。それは、震災から二か月後の神戸の風景です。
 「風景は断片になって 描かれることを拒否しているようだった」といせさんは感じます。そして「忘れてはいけない風景は 描けないのではなくて 描いてはいけないのかもしれない」と思います。何故なら、「描くことで 安心してしまうから」と。

 この絵本は阪神淡路大震災から3年経ったチェロの大コンサートの様子が描かれています。
 神戸で被災した女の子が弾くチェロはまるで何かにおこっているようでした。女の子は飼っていた小鳥たちを空に帰しました。避難生活では「どうぶつまでめんどうみられない」から。
 男の子は大好きだった犬を亡くして悲しみに沈んでいた。だから、彼が弾くチェロは犬の鳴き声みたいでした。 そんな二人はある日震災復興のチョロの大コンサートがあることを知ります。
 男の子は「ぼくのおとが、なにかのおうえんになるんだろうか」と悩まないわけでもありません。
 でも、コンサートのために夢中で練習に励みます。女の子も同じ。
 そして、コンサートの当日。「1000のチェロが、1000のものがたりをかたっている」その会場に男の子も女の子もいます。
 「かぜになってふきぬけるチェロのおと」が、二人をつつみます。

 阪神淡路大震災から16年。私たちはそれ以上の大きな悲しみに見舞われました。東日本大震災です。
 桁違いの死亡者の数。何もかもなくなったたくさんの町。悲しみは繰り返すのでしょうか。
 でも、神戸の街がそうであったように、きっと東日本の町々も必ず生まれかわるはずです。何故なら、たくさんの人がそのことを信じ、願っているから。この絵本の男の子や女の子の弾くチョロの音が「あたらしいあした」に届いたように。

 いせひでこさんはあとがきのなかでこう書いています。
 「ひとりひとりの物語がちがっても きもちを重ねあわせれば 歌はひとつになって 風にのる。そして きっとだれかにとどく」
 今、またとどけ。
 がんばれ、みんな。
 まけるな、みんな。
  
(2011/04/06 投稿)

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