fc2ブログ
プレゼント 書評こぼれ話

    今日は子供の日
  男の子の節句です。
  ということで、
  強い人になってもらいたくて
  取り上げたのが
  斎藤隆介さんの『八郎』。
  絵はもちろん、滝平二郎さん。
  表紙の八郎の凛々しい顔ったら。
  しかも清々しい。
  こういう男になってほしいものです。
  そういう私はというと
  うーむ
  どうも子供の頃にこういう本を
  読まなかったせいか
  きわめてだらしない。
  そんな反省もこめて。
  やっぱり男は強くなくちゃあいけないな。
  あ、強くっていうのは
  心根ですよ。

  じゃあ、読もう。
  
八郎 (日本傑作絵本シリーズ)八郎 (日本傑作絵本シリーズ)
(1967/11/01)
斎藤 隆介

商品詳細を見る

sai.wingpen  日本語は美しい                  矢印 bk1書評ページへ

 日本語は美しい。斎藤隆介さんの『八郎』を読むと、つくづくそう思います。
 書き出しはこうです。「むかしな、秋田のくにに、八郎って山男が住んでいたっけもの」。
 このような言葉のリズムが全編続きます。だから、まるで音楽劇を楽しむように読めます。
 もう少し紹介しましょう。今度は大男になった八郎が暴れ狂う海を山でせきとめようと、山を持ち上げる場面です。
 「山のふもととてっぺんさ両手をかけると、めきめき、ゆっさゆっさ、ぐらぐら、がらがら、よおむ、む、むーんと、とうとうしょい上げて、顔まっかに力んでな、ひょろひょろ、ひょろひょろって、はまのほうさ歩き出したと」。
 こんな時に自分のもっと音感があればと残念でなりません。まるで歌っているような文章です。
 音楽さえ聞こえてきそうです。暴れ狂う波の音、八郎の息遣い、風の悲鳴、村人たちの悲鳴。打楽器の重い音、弦楽器の悲しい調べ。
 みごとです。

 体が大きくなった八郎は海と戦うことで、自分の体がどうしてこんなにも大きくなったかを理解します。物語のクライマックスです。ここも引用してみましょう。
 「おらが、なしていままで、おっきくおっきくなりたかったか! おらはこうしておっきくおっきくなって、こうして、みんなのためになりたかったなだ、んでねが、わらしこ!」
 なんという美しい言葉でしょ。

 それに、滝平二郎さんの画もすてきです。大男の八郎のなんと優しそうな表情でしょう。そして、なんと凛々しい姿でしょう。滝平さんの画は優しさこそ強さだといっています。
 斎藤さんと滝平さん。
 二人のハーモニーが悲しい物語に終わらせないで、未来につづく物語にしています。
 最後の一節も原文で紹介しておきます。「あの男わらしこはよ、おっきくなって、おっきくなって、ひとのためんなった八郎ばまねてよ、どこかで、おっきくなって、おっきくなっているべもの」
 勇気をつなげる一冊です。
  
(2011/05/05 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
Secret

TrackBackURL
→http://hontasu.blog49.fc2.com/tb.php/945-f3e4b594