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プレゼント 書評こぼれ話

  憲法記念日の今日紹介するのは
  デニス ハシュレイさんの『わたしのくまさんに』です。
  児童文学の今江祥智さんが
  翻訳されています。
  この絵本は
  あさのあつこさんの『ようこそ、絵本館へ』にも
  柳田邦男さんの『雨の降る日は考える日にしよう』にも
  紹介されています。
  柳田邦男さんは

   不思議な魅力を秘めた絵本

  と書いています。
  あさのあつこさんの本では
  「恋をしましょう」という章の一冊で
  紹介しています。
  一冊の絵本ですが
  いろいろな読み方、感じ方があります。
  みなさんは、この絵本に
  何をみつけるでしょう。

  じゃあ、読もう。
  
わたしのくまさんにわたしのくまさんに
(2004/09)
デニス ハシュレイ

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sai.wingpen  本で伝わる愛                 矢印 bk1書評ページへ

 ベルンハント・シュリンクの小説『朗読者』(映画名『愛を読むひと』)は文盲の女性ハンナに主人公の少年が本を読み聞かせるところから始まる重厚な作品でしたが、このデニス・ハシュレイの『わたしのくまさんに』(翻訳は今江祥智さん)という絵本を読んで、物語に静かに耳を傾けるハンナの姿が重なるようでした。
 もちろん、この絵本で物語に耳を傾けるのは一頭のくまです。きれいな女性ハンナとは比べるべきではないかもしれません。
 それでも、このくまがある日森の中で拾った手紙のきれはしで文字に興味をもち、やがて森の丸太小屋で本を読む女性にひきよせられてそばで彼女の朗読に静かに聞き入る姿は、戦争で文字もわからないまま育ったハンナが少年の朗読する物語にひきつけられる姿によく似ています。
 もしかしたら、この絵本を読むことで、『朗読者』をもっと深く理解できるかもしれない。そんなことも思いました。

 ところで、この絵本のくまのかわいさといったらどうでしょう。(絵はジム・ラマルシェ)
 本に顔をよせ、うっとりとするくま。こんな表情で最近本に頬杖していないことに気づかされます。
 あるいはくまに本を読みつづけた女性が冬いなくなって、くまのために残してくれた何冊もの本に埋もれて眠るくまの幸福そうな顔といったら。
 本というのはいつもいつも幸福をくれるもの。そのことさえ忘れてしまっていませんか。
 この絵本は読むことの幸福、理解することの意味をおしえてくれます。
 本に埋もれて眠るくまにこんな文章がそえられています。
 「眠っているあいだじゅう、くまはじぶんの耳もとで、あの女の人のしずかな声を聞きつづけていた。女の人はくまに、すてきな冒険や魔法や愛の物語を読みつづけてくれていた」
なんとすてきなんでしょう。
  
(2011/05/03 投稿)

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