05/29/2011 パパのしごとはわるものです(板橋 雅弘):書評「野風僧」

今日の絵本、
板橋雅弘さんの『パパのしごとはわるものです』は
bk1書店から献本された一冊です。
表紙をごらんになればわかりますが
なんとインパクトのある作品です。
さて、パパの仕事ってなんでしょう?
わるものってどんな悪者でしょうか。
父の仕事は
この絵本でもそうですが
やはりきちんと何をしているのか
見せてあげるべきかもしれません。
会社で仕事をしていると
なかなか子供たちにわかってもらえません。
そのようなことを
書評に書いたつもりです。
じゃあ、読もう。
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河島英五が唄う「野風僧(のふうぞ)」という歌が好きだ。作詞は伊奈二郎で、「野風僧」とは中国地方の方言で「やんちゃ坊主」という意味らしい。
「お前が二十歳になったら/酒場で二人で飲みたいものだ」という歌詞で始まるこの歌は、父親が息子にあてた応援メッセージだ。最後には「いいか男は 生意気ぐらいが丁度いい/いいか男は 大きな夢を持て」と繰り返される。
板橋雅弘さんのこの絵本(絵は吉田尚令さん)に登場する「わるもの」が仕事のパパもお酒がまわってくると、なんだかこの「野風僧」を唄っているんじゃないかしらん。きっととっても下手だけど、しんみりさせているような気がする。
学校の宿題で「おとうさんの仕事」を調べるために、ある日、パパの車にこっそり乗りこんだ「ぼく」。着いたのはプロレス会場でもある大きな体育館。
そこで「ぼく」が見たのは、正義のレスラーにずるいことをする覆面レスラー「ごきぶりマスク」。でも、なんだかパパに似てる。そう「ぼく」のパパは悪役レスラーだった。
「パパはわるものだったんだね」と涙を流す「ぼく」に、パパはこう言った。
「わるものがいないと、せいぎのみかたがかつやくできないだろう? みんなのために パパはがんばってわるいことをしてるんだ」って。
夕日のなかを一緒に帰る父と子は、なんだかとても仕合せそうだ。
だって、なかなか「おとうさんの仕事」ってわからない。
大きなビルで働いていても、何をしているのかわからない。電話にむかって頭をさげているって変だし、パソコンをどうしてにらんでいるのかもわからない。それに比べたら、「ぼく」のパパの仕事はとてもわかりやすいい。覆面はしているけれど、りっぱに「わるもの」している。
「ぼく」はきっと胸はっていいんじゃないかな。「おとうさんのしごと」がきちんとわかるってことに。パパもきっと胸はっていいんじゃないかな。「わるもの」に理解をした息子がいるってことに。
「いいか男は 大きな夢を持て/野風僧 野風僧 男は夢を持て」
今夜もいいお酒にちがいない。
(2011/05/29 投稿)

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