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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日野村正昭さんの
  『デビュー作の風景』という本を
  紹介しましたが
  そこにも書きましたが
  その頃の「キネマ旬報」の
  「読者の映画評」で活躍していたのは
  野村正昭さんと
  寺脇研さん。
  そこで
  今日は
  寺脇研さんの『ロマンポルノの時代』を
  再録書評で紹介します。
  2012年の書評ですが
  思いっきり
  当時のことを書いていますね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  青春時代のまん中は道に迷っているばかり                   

 私にとって、本書の著者寺脇研さんは思い入れのある映画評論家です。
 私が高校生の頃、かれこれ40年も前のことです、いっぱしの映画青年きどりで映画専門誌「キネマ旬報」を愛読し、その「読者の映画評」コーナーにせっせと投稿していた頃、そのコーナーの常連が寺脇研さんでした。
 当時寺脇さんもまだ高校生だったのではないかなぁ。しばしば掲載されていましたから、私のような投稿者とは随分質のしっかりした内容だったような気がします。(本書にはその当時の投稿記事も掲載されています)
 社会人になり私はあまり映画を観なくなって寺脇さんのことも忘れていたのですが、偶然にも文部省の役人になったあとの寺脇さんの講演を聴く機会がありました。
 小さな会でしたので、そのあと懇話みたいな会があって、寺脇さん本人と話す機会があって投稿時代の話をしましたが、もちろん寺脇さんは数回しか採用されなかった私のことなど知りませんでした。
 私にはあの頃のことがただただ懐かしく、あの頃はまさに「映画の時代」であり、「ロマンポルノの時代」だったのです。そう、1971年からの数年間は私にとって「青春時代」そのものでした。

 日活ロマンポルノがスタートしたのは、1971年11月。
 経営に行き詰った日活が苦肉の策としてはじめた企画でした。
 たくさんのスターを輩出し、数多くの名作を生み出した日活が低予算でしかもエロ映画まがいの作品をつくるということで、所属のスターだけでなく多くの人材が外部に流出してしまいます。皮肉にもそのことがロマンポルノに勢いをつけました。白川和子、片桐夕子、山科ゆり、宮下順子といった女優だけでなく、神代辰巳や田中登といった名監督が誕生しました。
 映画作りの若いエネルギーは映画にも力を与えましたし、若い映画ファンや映画評論家は喝采をもって迎えました。当時の「キネマ旬報」がそれに大いに貢献したことは、本書でつぶさに検証されています。

 また、この本では従来あまり評価されていないロマンポルノの後期の作品にも光をあてています。現在の日本映画を支える監督たちがロマンポルノを契機として誕生している事実は、日本映画史にとってロマンポルノは特筆すべき作品群であったことを証明しています。
 また寺脇さんはポルノ作品では裏方でもある男優や脚本家にも目をそそいでいます。
 「ロマンポルノの時代」を生きたものにとっては青春の思い出のような、一冊です。
  
(2012/08/30 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日の書評にも
  ちょこっと書きましたが、
  私も70年代前半の映画雑誌「キネマ旬報」の
  「読者の映画評」への投稿者でした。
  なので、
  今日紹介する『デビュー作の風景』の著者
  野村正昭さんの名前は
  とても印象に残っています。
  私にとって
  青春の一ページのような投稿記事ですが
  野村正昭さんは
  それを職業にしたのですから
  すごいことだと思います。
  この本の絵は
  やはり「キネマ旬報」の投稿者だった
  宮崎祐治さん。
  映画監督の素敵な似顔絵がいっぱい見られます。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  青春のしっぽをひきづって                   

 今年(2019年)創刊100周年を迎えた映画専門誌「キネマ旬報」は、映画監督大森一樹に言わせれば「あの頃のキネ旬は僕らの映画の学校だったなあ」ということになるらしい。
 1952年生まれの大森監督が言う「あの頃」とは1970年代の頃だろう。
 73年の「キネマ旬報」の「読者の映画評」に投稿していた大森青年は20歳、そしてこの本の執筆者である野村正昭氏は18歳。
 野村正昭氏は「あの頃」の「読者の映画評」の常連採用者の一人だった。当時「キネ旬」を愛読していた私にとって、野村正昭という名前は憧れで、もう一人の常連採用者が寺脇研氏で、お二人が今でも映画評論家として活躍されていることに羨望の思いがある。

 野村氏の紹介プロフィールに「年間鑑賞映画本数1000本を超え、日本で一番映画を観ている映画評論家」とある。
 映画は邦画洋画合わせて年間1200本近く封切られているそうだが、さすがの野村氏も完全制覇とまではいかないにしても、映画が好きで好きでたまらないのに違いない。
 そんな野村氏だからこそ描かれたといえる、「日本映画監督77人の青春」。
 そもそもが「キネマ旬報」での連載だったそうで、残念ながら100人には足りなかったが、この本では紹介されなかった監督も多いことだし、続編を期待したいところ。

 勝手をいえば、やはり今や日本映画を牽引しているともいえる是枝裕和監督が入っていないのはもったいない。
 さらに今人気絶頂の白石和彌監督も知りたい。
 もちろん、野村氏も書いているように藤田敏八監督や若松孝二監督にも登場願いたかった。

 「映画監督の青春」は映画に夢中になっていた私たちの青春につながっている。
  
(2019/11/05 投稿)

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  先日、
  伊藤俊也監督の「女囚701号/さそり」を
  レンタルで観ました。
  梶芽衣子さんが主演した
  1972年の東映映画ですが
  これがとても面白かった。
  公開当時
  映像が縦から横へと変化して驚いたことなど
  鮮明に思い出しました。
  いい映画の条件は
  いつの時代であっても
  面白いということかもしれません。
  今日は
  町山智浩さんと春日太一さんが
  対談形式で語る
  『町山智浩・春日太一の日本映画講義 戦争・パニック映画編』を
  紹介します。
  日本映画も面白いですよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  映画は観てもいいし、読んでも楽しい                   

 映画評論家はあまたいる。
 一番に名前が浮かぶのはなんといっても、淀川長治さん。双葉十三郎さんとか小森和子さん、
 川本三郎さん、山田宏一さん、佐藤忠男さん、とすぐに10人ぐらいは名前が浮かぶ。
 そんな中、この本で日本映画の「講義」を行っている町山智浩さんは最近人気の高い映画評論家の一人だ。
 そして、もう一方の春日太一さんは映画評論家という肩書ではなく「映画史・時代劇研究家」となっているが、日本映画への愛は半端なく、その著作はそんな愛が溢れまくっているという人だ。
 そんな二人が日本映画の「戦争・パニック映画」について、語っているのだから、面白くないはずがない。

 ここで取り上げられているのは、「人間の條件」「兵隊やくざ」「日本のいちばん長い日」(これは1967年版です)「激動の昭和史沖縄決戦」「日本沈没」(これは1973年版)「新幹線大爆破」、そして何故か三船敏郎を描いた「MIFUNE」の6本。
 若い読者にとっては昭和の時代の作品に戸惑うかもしれないが、日本映画が大きな落日を迎えつつある時代の名作と思えば、作品が持っている力は決して失われていない。
 これらの作品に出演している三船敏郎や勝新太郎、あるいは仲代達矢や丹波哲郎といった男優たちの演技を観るだけでも面白いはずだ。

 町山さんには「映画は。何も知らずに観ても面白い。でも。知ってから観ると100倍面白い。観てから知っても100倍面白い」という名言があるが、だからこそ、映画評論家はいくらでも出て来るのかもしれない。
  
(2019/10/23 投稿)

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  昨日芦田愛菜ちゃんの
  『まなの本棚』という本を紹介しましたが
  そういえば
  子役の本があったことを思い出したので
  今日は再録書評で紹介します。
  中山千夏さんの
  『ぼくらが子役だったとき』。
  実はこの本の書評を書いたのが2008年で
  このブログで紹介したのが
  2011年8月22日。
  その時の「こぼれ話」で
  芦田愛菜ちゃんのことを書いています。

    芦田愛菜ちゃんはかわいいですね。
    彼女がちょっと気になりだしたのが
    NHKの大河ドラマ「江」からで
    そのあと、あ、ここにもでてる、あちらにも出てるって
    気がつけば大ブレーク。

  なんだ、昔から結構気にしてたんだね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ぼくはふつうの子どもだった                   

 子役と呼ばれた人たちはいつまでも子役であることはない。
 成長とともに彼らは「かつての子役」になり、「往年の子役」と呼ばれてしまう。子供たちが演じて(あるいは歌って)いたのであるから、それは避けることができない宿命である。
 失礼ではあるが、その言い方をせざるをえないので書くが、「かつての名子役」中山千夏さんがホストになって14人の「かつての子役」たちとの対談をまとめたのが本書である。
 その14人の顔ぶれを紹介すると、松島トモ子(知らない人多いかな)、小林綾子(おしんです)、長門裕之(津川雅彦さんのお兄さん)、浜田光夫(吉永小百合さんとのコンビがよかったですよね)、四方晴美(TV黎明期の子役といえば、やっぱりこの方チャコちゃん)、柳家花録(名人小さん師匠のお孫さん)、小林幸子(紅白の衣装の話ではありません)、和泉雅子(日本人女性として初めて北極点到達に成功したんですよね)、水谷豊(『相棒』で今もブレイクしてます)、風間杜夫(この人の日活ロマンポルノ主演作好きだったな)、矢田稔(さすがに私でもわからない戦中に活躍された方)、弘田三枝子(彼女の「人形の家」は名曲です)、和泉淳子(狂言の、そう節子ママは本書でも少し登場)、梅沢富美男(夢芝居です)、となる。

 ついでに、中山千夏さんのことを書くと、舞台の『がめつい奴』で子役として人気を博したらしいのだが、私のなかではあの『ひょっこりひょうたん島』の「博士」の声を演じた千夏さんであり、ご本人は封印されているらしいが『あなたの心に』(1964年)を歌った千夏さんである。
 その後参議院の議員にもなられているが、色々な市民運動に参加されてもいる。
 しかし、やはり私にとっての千夏さんは子役からやや成長期を迎えられた頃がもっとも親しみやすい。そのように考えると、「子役」というのは情報の受け手であるこちら側の年令とも密接に関係している存在であることがわかる。
 例えば、本書に登場する水谷豊さんなどは手塚治虫の実写版『バンパイヤ』を演じていた頃を知っている人にとっては「子役」水谷豊であったかもしれないが、現在の『相棒』の右京役で水谷豊さんを知った世代にとっては「子役」どころかしぶい中年役者としての認識だろう。
 つまり、水谷豊さんなどは役者として極めて幸福な事例であるといえるし、本書に登場した14人それぞれが「子役」にひきずられることなく、今も立ち位置がはっきりしている幸福な人々だといえる。

 千夏さんが書かれているように「芸能界はオトナ中心のオトナ社会だ。とりもなおさず子役とは、オトナ社会を子どもが生きる体験だ」と思う。そして、そのオトナ社会に負けてしまった多くの「子役」がいることも事実だ。 それは週刊誌的にいえばスキャンダルと犯罪に走った「子役」たちだ。
 彼らへのインタビューが実現しなかったことについて、千夏さんは「多くは連絡がとれなかったし、こちらも無理はしなかった。そっとしておいてもらいたいのが当然だと思ったからだ」としているが、やはり彼らこそ「子役」という重い過去を背負った人々だろうし、彼らが「子役」であったことをどう語るのかは極めて重要なことだと思う。

 子どもはいつまでも子どもであることはない。
 しかし、子どもは「子役」とは違い、成長したからといって「かつての子ども」とか「往年の子ども」と呼ばれることはない。
 そのことだけでも「ふつうの子ども」は幸せなのかもしれない。
  
(2008/09/13 投稿)

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  いよいよ今日
  100作目となったNHK朝ドラなつぞら」が
  最終回を迎えます。
  このドラマのモデルとなっているのが
  日本の女性アニメータの草分けといわれる
  奥山玲子さんとはよくいわれています。
  ドラマの中でも
  あ、あの作品がモデルと思った人も
  多かったと思います。
  「白蛇伝」「狼少年ケン」「タイガーマスク」「ルパン三世」・・・
  そして、「アルプスの少女ハイジ」。
  そこで、今日は
  2017年5月に紹介した
  ちばかおりさんの『ハイジが生まれた日』を
  再録書評で紹介します。
  来週からの新朝ドラを楽しみにしつつ、
  「なつぞら」の最終回を見ます。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  あなたは「ハイジ」が好きですか                   

  「アルプスの少女ハイジ」が放映されたのは、1974年1月6日。
 それから40年以上経ってもまだTVCMに使われるなど人気がある。
 どうして、このアニメが私たちを夢中にさせるのか、その問いを解き明かす一冊である。
 アニメの歴史をたどるというだけでなく、仕事と人との関わりも描かれていて、良質のビジネス書としても読むことができる。

 著者ちばかおりのこの作品を描いていくアプローチにはひとつの方法があった。
 それは、アメリカの児童文学者であるスターリング・ノースのこんな言葉だ。
 「歴史を語るには、有名だろうが無名だろうが、ある人の人生を語るのがいい」。
 この言葉に誘発されてちばが選んだのが、「ハイジ」の生みの親ともいえるプロデューサー高橋茂人である。
 「ハイジ」となれば誰もが高畑勲や宮崎駿を思い浮かべるだろうが、ちばは高橋の人生を語ることで「ハイジ」を描こうとした。
 その時点でこの作品はちばの描く独自のノンフィクション作品になったといえる。

 もちろん、アニメは一人の人間が作るものではない。
 この作品では前半を高橋茂人、後半を高畑勲や宮崎駿といった製作者サイドから描いている。
 アニメファン、「ハイジ」ファンにとっては、この後半はたまらないだろう。
 アニメだけでなく、音楽や効果音、声優に至るまで、この一作がどれほど丁寧に作られていったかが克明に綴られていく。
 「ハイジ」が今も愛される理由が、きっとあなたにもわかるだろう。
  
(2017/05/04 投稿)

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