05/25/2023 邪悪の家(アガサ・クリスティー):書評「謎解きを愉しめる作品」

最近アニメの「名探偵コナン」にはまっていて、
劇場版アニメを立て続けに観ています。
そこに登場するコナン少年を助ける博士の名前が阿笠(あがさ)博士。
いうまでもなく、アガサ・クリスティーから採られています。
今日は本家アガサ・クリスティーの作品から、
ポアロものの『邪悪の家』の紹介です。
この作品のことを
いつもの霜月蒼さんは『アガサ・クリスティー完全攻略』で、
「安心のミステリ仕掛け」と書いています。
謎解きをポアロとともに愉しむには
うってつけの一作かもしれません。
評価は★★★☆。
私なら★四つにしたいところ。
じゃあ、読もう。

この作品は1932年に発表されたもので、ポアロものの長編小説として6作めにあたる。
原題は「Peril at End House」で、「End House」はこの物語の舞台となる館のこと。
「Peril」には「危険」という意味があるから、さしずめその館に起こる危機というが原題。それを『邪悪の家』とすると、やや雰囲気が違うが、作品の中にこの館を指して「邪悪の家」という人がいるから仕方がない。
この作品の語り手は、ポアロもので馴染みのあるヘイスティングズ。
ポアロからは「きみの直観はいつもまちがっている」とからかわれているが、そのなんともいえないペーソスな雰囲気はポアロものには欠かせない人物。
ポアロものといわれる作品にはヘイスティングズが登場しないものもあるが、彼がいると作品がより面白くなるのは間違いない。
この作品では、保養地で休暇中のポアロたちが偶然命を狙われている若い女性と知り合うことから始まる。
休暇中とはいえ、ポアロがこの保養地に来たことが新聞の記事にもなるほどで、すでにポアロが名の知れた名探偵であることがわかる。
そして、今回の事件の犯人は、そのことを巧みに利用している。
殺人が起きるのは、ポアロがこの女性の助けようとした矢先のこと。女性の従妹が殺されてしまう。
作品中には、ポアロが事件を解くカギとなる項目が列挙されていて、謎解きを愉しむには面白い作品となっています。
犯人の動機はともかく、この人怪しいよなと思える人は結構早くからわかるのではないでしょうか。
(2023/05/25 投稿)

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05/24/2023 藩邸差配役日日(砂原 浩太朗) - 漢字ばかりのタイトルは苦手ですが

翌年には『黛家の兄弟』で第35回山本周五郎賞を受賞した、
今もっとも注目されている時代小説作家といっていい。
砂原さんの魅力はその抑制された文章と静謐な世界観にあるといっていい。
まだ作品数が多くないので、これから先どのような作品をものにするのか、
期待値も大きい。

この『藩邸差配役日日控』である。
評判となった『高瀬庄左衛門御留書』が漢字のみを連ねたタイトルだったから、
その験担ぎということもあったのだろうか、
今回も漢字だけを連ねたタイトルになっている。
5つの短編で出来上がっているから、連作集ではあるが、 、
やはり大きな線が一本つながっているので、長編として読んでもいい。

差配役というのは、
藩邸の管理を中心に殿の身辺から邸の雑役に至るまで目を配る要の役目で、
現代でいえば会社の総務・秘書室みたいな役目だろうか。
里村には二人の娘がいるが、妻を若くして亡くしている。
作品の大きな線というのは、里村の家族に関係することだが、
それは最後の作品「秋江賦」で明らかになる。

この作品はどちらかといえば平凡に見えるかもしれない。
あるいは、作品の尺が足りないせいかもしれない。
主人公を取り巻く人たちへの踏み込みが足りなくて、
それが作品を平凡にしているように思える。
もっとも、まだ期待の作家であることには違いないが。

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05/23/2023 朝のあかり 石垣りんエッセイ集(石垣 りん):書評「石垣りん/それでよい。」

今日紹介するのは
詩人の石垣りんさんのエッセイ集『朝のあかり』。
中公文庫のオリジナルです。
解説を書いているのは梯久美子さん。
書評でこの文庫には年譜がないのが残念と書きましたが、
その反対にとても感心したことがあります。
それは巻末に
それぞれのエッセイの「初出一覧」が載っていること。
石垣りんさんのことは
若い時にはあまり知りませんでしたが、
私が十代の1970年代の時にも新聞にエッセイを載せていたりしています。
知っている人には
よく知られた存在だったのですね。
今回の書評のタイトルは
石垣りんさんの代表詩「表札」の最後の一行から。
じゃあ、読もう。

詩人石垣りんのエッセイ集『朝のあかり』は、彼女の生前に刊行された3冊のエッセイ集の中から選ばれた71篇を収めた読むに値いする文庫オリジナルですが、唯一残念なのが、年譜がないことでしょう。
仕方がないので、岩波文庫の『石垣りん詩集』に載っている「石垣りん自筆年譜」を参考にしながら、エッセイとともにその84年の人生をたどるのがいい。
石垣りんは昭和9年(1934年)、14歳で日本興業銀行に事務見習いとして就職。
その時の幼い姿や18円の初任給に喜ぶ姿など、たびたびエッセイに綴っています。
現代の感覚でいえば、14歳で仕事に出るのは過酷な環境だったのかと思ってしまうが、そうではないと、石垣は書き残している。
「家は、子供を働きに出さなければならないほど生活に困っておりませんでしたが、(中略)私は早く社会に出て、働き、そこで得たお金によって、自分のしたい、と思うことをしたいと、思いました。」
石垣はその頃から書き溜めた文章を色々な雑誌に投稿する少女で、彼女は働くことで書く自由を求めたといえます。
しかし、もちろん働くことは楽ではなく、まして当時の社会では女性の地位も低く、そこにやるせない感情もありました。
彼女の代表作ともいえる「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」などの詩は、そういうところから生まれたといっていいでしょう。
石垣が会社を定年退職するのは昭和50年(1975年)、55歳の時でした。
その少し前、50歳の時に川辺の1DKのアパートで一人暮らしを始めます。
そこから先、亡くなるまでの小さな生活ぶりの様子は、エッセイにもうかがうことができます。
そんな石垣りんにとって、人生とは何であったのでしょう。
少し長めのエッセイ「詩を書くことと、生きること」にこう記しています。
「長いあいだ言葉の中で生きてきて、このごろ驚くのは、その素晴らしさです。」
「私のふるさとは、戦争の道具になったり、利権の対象になる土地ではなく、日本の言葉だと、はっきり言うつもりです。」
時代がどんなに変わろうが、石垣りんが問いかけたことは不変です。
だからこそ、このエッセイ集は読むに値いする一冊なのです。
(2023/05/23 投稿)

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05/22/2023 ニンニク収穫しました - わたしの菜園日記(5月21日)

二十四節気のひとつ、小満でした。
草木がしだいに枝葉を広げていく、そんな時期です。
そして、田植えが始まる頃でもあります。
近所の田んぼでも先週半ば頃に田植えが終わりました。

忽ちに一枚の田を植ゑにけり 高浜 虚子
昔の人はそんな光景を見ながら
季節を感じていたのでしょうね。

大事な作業が待っています。
それがわき芽とり。
気がつけばどれがわき芽かわからなくなりますから
小まめに確認が必要になります。
では、問題です。
これはトマトの苗ですが、どれがわき芽かわかりますか。

とってもわかりやすいわき芽を残しているので
簡単にわかると思います。


背の高いネットに中にトウモロコシがあります。
その横にあるのがモロッコインゲンで
よく見るとかわいい莢がつきだしてきました。

これはキュウリ。

かわいい実をつけていますが、
これはとってしまいます。
これからどんどん実をつけてもらうための処置です。

例えば、ソラマメなら空を向いていた莢が下を向くのがそうですし、
タマネギなら葉が倒れてきた時、
ニンニクなら葉が枯れてきた時などです。
そのサインを受け、
昨日(5月21日)ニンニクと葉の倒れたタマネギの
収穫をしました。

ニンニクは満足いく収穫、
タマネギはこれから続々と採れそうです。

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ごみ捨てにもルールがあります。
よく耳にするのが、「ごみの分別」のルールです。
「燃えるごみ」とか「資源ごみ」とか「不燃ごみ」とか
きちんと分けて捨てなければいけません。
もし、分けなければどうなるか。
答えは、正高もとこさん作の絵本『ごみしゅうしゅうしゃのぽいすけくん』の中にあります。
ぽいすけくんの仲間のぱっくんのおなかが燃え出す騒動が
描かれています。
「燃えるごみ」にまざってスプレー缶が捨てられていたのです。
ぽいすけくんはびっくりします。
そして、ちょっとこわくなりました。
そうしたら、カラスにいたずらされているごみ置き場とか、
海岸に捨てられたたくさんのごみとかが気になりだしました。
ぽいすけくんは、だんだん元気がなくなっていきました。

小型トラックとか消防車、救急車といった働く車が
いっぱい出てきます。
それらの絵を描いたのは鎌田歩さん。
子供たちが大好きな車たちがとても暖かなタッチで
描かれています。

子供たちの応援で少しずつ元気になってきます。
ほら、今日も聞こえます、ぽいすけくんの元気な歌声が。
「うおー ぱかぱかぱか おーん」

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